【あらすじネタバレ有】ケルト宗教?カルト教団?【ミッドサマー・ディレクターズカット版】
2月21日公開のミッドサマーを観て参りました。
ちなみに、ディレクターズカット版も観てきました。
正直あと何回か観直してきちんとすべての伏線を味わいたいところですが、そうするためには多くを学ばないといけないので取り急ぎ感想や考察を記憶に新しいうちにここにしたためようと思います。
標記の通りネタバレを含みますので、予告編以上の内容や結末を知りたくない方は閲覧をお控えくださいませ。
2020.03.14 追記
考察書きました↓
まず鑑賞後に思ったのは、
「なにをみせられていたんだろうか」
「とんでもないものをみてしまった」
「めちゃくちゃいい映画じゃないか」
ということ。
兎角、私個人的には非常に良い映画だなと感じました。
なんだかホラー映画?とかいう触れ込みでしたがホラー映画とはまた違うくくりだなあと思いました。ある種のSFというか。
恋愛映画でもありますし家族映画でもありますし。
依存映画ともいえるし…なんだか様々な要因が複雑に絡み合ってるなと感じます。
普段はそんなことしないんですけど、今回は登場人物やあらすじを個人の備忘録としてまとめてみようと思います。(ディレクターズカット版のシーンは色を変えています…一部うろ覚えですが。)
登場人物
<主人公サイド>
ダニー :本作の主人公、心理学を専攻している
クリスチャン:ダニーと付き合って4年と2週間の彼氏、博士課程在学中(人文学?)
ジョシュ :クリスチャンの同期、ホルガの論文を書こうとしている
ペレ :クリスチャンの同期、ホルガ出身、夏至祭に仲間を誘う
マーク :クリスチャンの同期、下品でチャラい
イングマール:ペレの兄弟分、サイモンとコニーを連れてきた
サイモン :イギリスからきている、コニーとは婚約済み
コニー :イギリスからきている、サイモンとは婚約済み
<ホルガサイド>
シヴ :ホルガの村長、気高くその言葉には説得力が伴う
ダン :ホルガの老人、72歳になった
イルヴァ:ホルガの老婆、72歳になった
ルビン :ホルガにおける聖書"ルビ・ラダー"を描くことができる唯一の汚れなき存在
マヤ :ホルガの少女、クリスチャンを気にしている様子
インガ :ホルガの少女、マークを気にしている様子
カリン :ホルガの女性、ダニーの世話を焼いてくれている
ウラ :ホルガの女性、非常にやさしく気立てがいい
ウルフ :ホルガの男性、ホルガの文化を非常に大切にしている
イルマ :ホルガの老婆、儀式の司会を務めることがある
アルネ :ホルガの老人、ルビ・ラダーに詳しい
(結構名前を失念しているのでがったがたですがまあこの辺分かってれば困りはしないでしょう、多分…)
ストーリー・起承転結
【起】ダニーの家族の死、スウェーデンへの旅の決意
雪景色の中、何者かの歌声のようなものが聞こえる。
電話が鳴り響くも、部屋の主とみられる老夫婦(ダニーの両親)はすでに就寝している。「妹から不気味なメールが来て心配なんだけど…大丈夫なら電話してね。」とダニーがメッセージを残す。
ダニーが落ち着かない様子でいる。双極性障害を持つ妹から両親との心中を彷彿とさせる不穏なメッセージが来ているうえ、両親に電話をかけてもつながらないためだ。よくあることではあるが、今回はなんだか様子がおかしく、嫌な予感がする。返信のメールを送っても反応がない。
彼氏であるクリスチャンに涙ながらに電話をするものの「大丈夫だから」とあまり真剣に受け止めてくれない様子。さらには「君が甘やかすからつけあがるんじゃないの?」とまで言われてしまう。
電話を切り、親友と思しき女性に半泣きでクリスチャンとのことを相談するダニー。「きっとクリスチャンは私にうんざりしているわ…」と非常に後ろ向きな様子。
「まあ、確かに考えすぎかも、いつも通りよ、きっと大丈夫」と抗不安薬を飲むダニー。そこに誰だかわからない電話番号から電話がかかってくる。
クリスチャンとその同期のマークは 「さっさとあんな女別れなよ」「いやわかってるんだけどさあ…」とぐだぐだ。同期のジョシュもうんざりしている様子。また同じく同期のペレは困ったような顔をしながらも何やら絵を描いている。
そんな時再びダニーからの着信。「おいおいもうそんな電話出るんじゃねえぞ」とマーク。しかしクリスチャンはその制止を振り切り電話を取る。
電話口ではダニーが悲痛な叫びをあげていた。場面が変わり、エンジンかかった車から排気ガスを家にひいている様子、眠っているように死んでいるダニーの両親、チューブを口にしうつろな目をして死んでいるダニーの妹…が見える。ダニーの「いやな予感」はあたり、妹が両親とともに心中してしまったのであった。
突然家族を失い、大泣きするダニーをどうにかあやすように抱きかかえるクリスチャン。心に深い傷を負ったダニーをどうにもできないでいる様子である。
すっかり眠ることができなくなってしまったダニー。そんな中でもクリスチャンはいつもの仲間たちのパーティに出かけるといい、「どうせ眠れないし」とダニーもついていく。
パーティーで集まった仲間たちはスウェーデンに行く話をしており、ダニーにとっては寝耳に水。どうして話してくれなかったの?別にいかないでなんて言わないのに…とクリスチャンに詰め寄る。パニックになったダニーを前に「君も誘おうと思っていたんだ。」とクリスチャン。「それは私が泣いているからそういっているだけでしょう。」と詰るダニー。クリスチャンは「サプライズのつもりだったんだ」とダニーを宥めた。
クリスチャンはダニーをスウェーデンに誘うことにし、仲間たちにも「どうせ来ないと思うけど…」と誘ったことを説明。誘うよう促されたから誘うことにしたから話を合わせてくれと言った。
ところがダニーはクリスチャンの予想に反して「みんなの予定を邪魔しないなら」と前向きに検討しており、マークやジョシュは「嘘だろ…」といった気持ちでいる。そんな中、スウェーデンに皆を誘ったペレは気前よくダニーにホルガの饗宴の様子を見せ、ダニーは到着する日が私の誕生日なの、とペレに告げる。「それはおめでとう!」とペレ。ペレはダニーに夏至祭では女王≪メイ・クイーン≫が得ればれることを教え、去年の女王≪メイ・クイーン≫の写真を見せる。「きれい」とダニー。ペレは画面を見つめるダニーを優しく見つめる。
場面は変わり、一同は飛行機に乗って移動中。空港に到着し、車で移動するも4時間かかるとのことで村の遠さがわかる。車中ではダニーが友達から「1日早いけど誕生日おめでとう!」とメッセージをもらっていた。(携帯の画面からこの日が6月19日の水曜日であることがわかるため、ダニーの誕生日は6月20日の木曜日となる。」
ダニーはジョシュが「the secret nazi language of the uthark」という本を持っていることに気づき、なぜその本を持っているのか聞く。「ペレに聞いてくれ」と笑いながらジョシュ。
話を振られたペレは笑顔でルーン文字の話をする。
村の手前でペレの兄弟分だというイングマールと、彼が招待したイギリスの友人であるサイモン、コニーと出会う。
歓迎の印とばかりに幻覚作用のあるマッシュルームを口にする一同。「落ち着いてからがいい」とためらっていたダニーにイングマールは「マッシュルームティーもあるよ」と促され、ひとりだけマッシュルームティーを飲んだ。
まだまだ昼下がりのような明るさの中でぼんやりしていると、時刻は夜9時。ふと自分の手を見下ろしたダニーは手の甲から草が生えている幻覚、木が動いている幻覚を見、落ち着かなくなって立ち上がる。
当てもなく歩いていると村人たちに笑われているような感覚に陥り、心配して近付いてきたイングマールに対してもろくに相手ができない。「大丈夫、大丈夫だから」とパニックになりかけているのを必死に抑えつつ近くの小屋に駆け込んだ。
鏡を見て「大丈夫」と自分に言い聞かせようとするも背後に死んだ妹の幻覚を見る。慌てて振り返り、何もないことを確認したものの鏡に映った自分の顔が歪んでいるのを見てパニックになり、小屋を飛び出しそのまま気を失ってしまった。
ダニーが目覚めると一同がそばに集まっており、6時間が経過したことを知らされる。
【承】ホルガの饗宴(狂宴)への歓迎、儀式の目撃
<夏至祭1日目>
道なき道を歩くと村に到着し、ダニー達一行は歓迎される。
ペレによって村人たちに紹介してもらい、荷物などを運んでもらう一行。
村の明るい雰囲気に圧倒されているうちに、音楽が鳴り響き人々が列をなして移動するので一行はそれについていくと、10人の長老たちが円になって座っている中、村の長であるシヴが乾杯の音頭を取り、夏至祭の開始を告げた。
大きな盃の中で燃える炎があり、「あの炎は僕が生まれる前からずっと燃えていて、絶対に消してはいけないんだ」とペレ
村について初めての食事が行われる。年長者と思しき男性が祈りのようなものを捧げる。
「あれは祈りというより、呼びかけのようなものなんだ」とペレ。最後は村人全員でハミングのような声を出し、皆が食事を始めた。
祭りを前にした華やかな村の雰囲気に全員が圧倒され、「スキン・ザ・フール(愚か者の皮剥ぎ)」という遊びをしているのをぼんやりと眺める。
クリスチャンがおしりを蹴られ、ふと顔をあげるとホルガの少女、マヤが笑顔でこちらを見ていた。
「あれは俺が参加してもいいのかな」とクリスチャン、「いってきなよ」とペレ。
ペレとダニーが二人になり、ペレがダニーに「お誕生日おめでとう」と花冠をかぶったダニーの似顔絵をプレゼントする。「これは二人の秘密に」とペレ。
村の中を散策しているダニー達とイングマール一行。
サイモンとコニーのなれそめを聞き、「あなたたちは付き合ってどのくらいになるの?」と聞かれる。クリスチャンは「3年半」と答えたがダニーが「4年と2週間」であると訂正する。クリスチャンはそのことを謝る。
サイモンとコニーが婚約していることを聞き、思わず振り返って「おめでとう!」とダニーが祝福する。そんなダニーを見て気まずそうに眼をそらすクリスチャンは「あれは何?」と指をさす。クリスチャンが指さした村のはずれには黄色い三角錐状の建物があり、「あれは神殿だよ」とペレ。「入れるの?」「それは許されない」
「さあ、泊まるところを案内するよ」とペレ。
「サイモンとコニーはこっちへ」と、サイモンとコニーはイングマールに連れられ、その途中でラブストーリーのタペストリーを見る。木の檻に入れられた大きなクマがいるが、特に誰も興味を示さない様子だった。
ラブストーリーのタペストリーは、
男性に惚れた女性がルーン文字を刻んだ木片を仕込み、女性自身の陰毛を料理に、経血を飲み物に混入させ、男性に摂取させる。そうすることで二人は結ばれる、といった内容であった。
ダニーたちは寝泊まりするベッドのある大きな宿舎を紹介される。
論文を書こうとしているジョシュはペレから、
0歳~18歳が「春」:様々なことを学ぶ時期
18歳~36歳が「夏」:世界に旅立ち、世界を見る時期
36歳~54歳が「秋」:労働者として村に尽くす時期
54歳~72歳が「冬」:老師として次代を教育する時期
があり、各季節の人はみな同じ宿舎で暮らすことを聞き、熱心にメモを取る。
「72歳を過ぎたらどうなるの?」というダニーの問いかけに対し、ペレは首を切るようなジェスチャーをし、一同は笑った。
宿舎の入り口近くには歴代メイ・クイーンの写真が飾られ、ダニーはそれを眺める。中ではペレがクリスチャンにダニーの誕生日のことを伝えていた。やはり、クリスチャンはダニーの誕生日を忘れていたのだ。
インガが宿谷を訪れ、「オースティン・パワーズ」の上映会があると告げ、去り際に意味ありげにマークを見つめる。それを見たマークはいい気分になる。
クリスチャンはダニーを外に呼び出し、「ハッピー・バースデイ・トゥー・ユー」を歌いながら一切れのケーキを差し出す。ライターで火をつけようとするもなかなかつかない。
「ごめんね、忘れてたわけじゃなくて、昼間の時間が長すぎてわからなくなっちゃったんだ」と謝るクリスチャン。ダニーは曖昧に笑って蝋燭を吹き消す。
明日から最初の儀式が始まるんだよ、とペレ。
何が始まるのか問うとペレは「アッテストゥパン(Ättestupa)」とだけ答える。言葉の意味が分からないクリスチャンとダニーをよそにジョシュは「本当か?」と神妙な顔をし、「それは怖いこと?」というダニーの問いかけに対し意味ありげな笑みをたたえる。
<夏至祭2日目>
翌日、食事の時間になり、村人全員がテーブルに並ぶ。
女性たちがうしろ向きに花を摘んでおり、ダニーもそれに倣って花を摘んでクリスチャンにプレゼントする。
ホルガの少年が鐘を鳴らすと、神殿の方から老人と老婆ーダンとイルヴァが歩いて席につき、一同は食事を始める。
食事が終わると、ダンとイルヴァが祈りの言葉のようなものを上げ、皆で杯を交わし、二人は椅子に座ったまま他の村人たちにどこかへと運ばれていった。
マークは昼寝がしたいといって宿舎に戻り、一同は村人たちと共に崖の下に移動した。
崖の上には先ほどの老人二人、ダンとイルヴァが運ばれてきており、ルーン文字が刻まれた大きな石碑の前に降ろされる。掌をナイフで切り、その血を各々石碑につけた。崖の上には似たような血の付いた石碑がたくさんあるのが見える。
崖の下では村長であるシヴが何やら書物を手に、祈りの言葉のようなものを捧げる。
「あれはルビ・ラダーという我々の聖典だ」とペレがジョシュにささやき、ジョシュは何とかその中身を見たいと強く思うが、あれはだめだよと宥めるペレ。
祈りの言葉が終わり、シヴが大きく息を吐き、吸う。崖の上にイルヴァが現れ、彼女もまた天を仰ぎ何かを唱える。
刹那、イルヴァが崖から飛び降り、顔面から大きな岩の上に打ち付けられ、死亡した。
ダニーは思わずクリスチャンの腕を掴み、クリスチャンとジョシュは頭を抱える。
サイモンとコニーは「こんなことがあってはならない」「なぜ何もせず見ているのか」と近くの村人につかみかかる。
そうこうしているうちに今度はダンが崖の上に現れ、イルヴァ同様崖から飛び降りた。
しかし、ダンは大きな岩の上からはそれてしまい、片足が折れ、虫の息となって生きていた。
その様子を見たホルガの村人たちは一斉に泣き声や呻き声をあげ、杵のようなハンマーを持った老人1人とたすきをかけた男女3人がダンの方へと向かった。
ハンマーがダンの顔面に振り下ろされ、ダンは絶命する。ハンマーはたすきをかけた男女により3回振り下ろされた。ダンの顔はもはや原形をとどめていない。
サイモンとコニーは罵詈雑言を浴びせながら「もう帰る」と騒ぎたてる。
「説明してなかったの?」とイングマールが責められ、シヴがサイモンとコニーに「これは伝統的な儀式であり、ホルガの生命サイクルを終えた(=72歳になった)二人は幸せに死んだ」と教えた。また、「先ほど飛び降りた女性の名はイルヴァであり、今度生まれてくる赤子には彼女の名がつく、こうして生命が繋がれていく」と続けた。
崖の下から移動する際、クリスチャンはダニーを思いやるそぶりを見せ、ダニーは「もうこんなところ居たくない…」と今にもパニックになりそうな気持ちを抑えていた。戻ってきた後、ダニーは一人嗚咽する。
食事のあと、村では女性たちが大きな樹に飾りを縫い付けていた。
クリスチャンは何をしているのか気になり、マヤに話しかけるがマヤは英語があまりわからない様子で、ウラが代わりに対応した。
「アッテストゥパンは何度見たの?」と問うクリスチャンに対し、「72歳になればだから…その…」と口籠るウラであった。
ジョシュがペレに論文のことを問う。ペレはそれは難しいと思う、と言うがジョシュの懇願により「長老たちに聞いてみるよ」とペレが折れた。
宿舎で論文を書くジョシュに対し、クリスチャンが「俺はホルガのことを論文にすることにしたよ」と言い、「お前は俺が夏至祭の論文を書くと知っていながらそうするなんて信じられない」と口論になる。
「博士課程だぞ」「何のための大学院なんだ?」「俺が教えなきゃ大学院の電子図書館の使い方すら知らなかったくせに」とジョシュがまくし立てる。モラトリアム延長で院進するのはいいが研究をなめるなと。
「まあ、協力して書くか各々書くかは俺はどっちでもいいぞ」とクリスチャン。
宿舎で荷物をまとめているダニーにペレが話しかける。
「誘ってくれてありがたいけど、私は帰りたいの…」と今にもパニックになりそうなダニー。
ペレはダニーの隣に腰掛け、ホルガに誇りを持っていること、自身も幼いころに両親が焼死していること、ホルガの皆が「家族」であるため孤独ではなかったことを語り、クリスチャンは果たして君にきちんと寄り添えるの?とダニーの手を握りながら問いかける。
聖火によってイルヴァとダンの死体が焼かれる。
ダニーが一人うずくまっているところにクリスチャンが「大変な一日だったね」とクリスチャン。
「あなたは大丈夫なの?」とダニー、「まあ、伝統だし…僕たちの常識で判断してはいけないと思う」とクリスチャン。
夕方になり、「もう一つの儀式がみられるから」 と村人に呼び出されるダニーたち。
湖に村人たちが集まっており、飾り付けがなされた大きな樹が湖に投げ込まれる。
イルマが感謝の言葉、祈りの言葉を捧げ、そこに男性が「我らの偉大なる女神はさらなる供物を欲している」と割って入る。
そこに、全身に樹と同様の装飾を施した少年が「自分が供物になる」と言う。
「なんて勇敢なのだ」と男性、「勇敢?あるべきところに帰ることのどこが勇敢なのです」と少年。
少年には両足にはおもり(のようなもの?)がつけられ、肩と両足を二人の男に抱えられた。
少年は大きな石を抱えさせられ、二人の男が掛け声をかけながら今にも投げ込みそうな動きをする。
ダニーが「やめて!」と叫んだタイミングで他の村人からも「彼の勇気をたたえるだけでよいでしょう」と制止が入り、少年はおもりを外され、解放された。シヴが優しく少年を抱きしめ、頭を撫でる。
儀式の会場を逃げるように後にするダニーに対し、クリスチャンは「落ち着けよ」と言う。
「私は帰りたい」とダニー。しかしクリスチャンは「俺はホルガの論文を書くから帰らない」という。
「そんなのいつ決めたのよ」「今日決めた」「一緒に帰りたい」「それはできない」「もう愛してないのね」「それとこれとはどう関係があるんだ」…口論が始まる。
ダニーが何の気なしに花を摘んで渡したことについても「誕生日を忘れていた俺に対する嫌味だったんだろう」「そんな深い意味はなかったのに」「いや、あるね」…、クリスチャンはダニーを責め立てる。
「俺がクソ男だってことでいいんだろ?なんだかいつも責められているようだ」「そんなつもりはないのに…」「いや、あるだろ、お前はずるい女だ」
クリスチャンは悲しむダニーを置いてその場を立ち去る。
床に就く前、ダニーはジョシュに睡眠薬をくれない?と頼み、睡眠薬をもらう。
明け方、物音がしてダニーが目を覚ますと、クリスチャン一行がダニーを置いて車で帰っていった。場面が変わり、アッテストゥパンで亡くなったイルヴァとダンがダニーの両親に変わっており、中央にはチューブを口にした妹、そしてその妹の目がこちらを向く。
…というのはすべてダニーの悪夢であった。
その間、マヤが思いつめた顔をしながらそっとベッドを抜け出し、クリスチャンのベッドの下に何やらルーン文字が刻まれた木を置いた。
その一部始終をジョシュが見つめていた。
【転】ホルガの儀式への戸惑いや恐怖、メイ・ポール・ダンス
<夏至祭3日目>
2日目の儀式、アッテストゥパンにて亡くなったイルヴァとダンの死体はすっかり灰になり、村人たちによって祈りの言葉と共に、大きな倒木にその遺灰が撒かれる。
ペレが植物の剪定をしているところにジョシュとマークが声をかけ、ジョシュはペレから名前や場所は伏せるという条件付きでなら論文を書いてもいいと長老たちの許可が出たことを告げ、ジョシュはガッツポーズをする。マークは小便をしてくるとその場を立ち去った。
ジョシュはペレにマヤがクリスチャンのベッドの下に入れていたルーン文字が刻まれた木片を見せ、「これは何か」と問う。フフッと微笑んで「これは恋のルーンだね」とペレ。
クリスチャンも合流し同様の報告を聞いて喜ぶ。「クリスチャンの方が先だったからクリスチャンと協力して執筆するようにね」とペレに言われうんざりした顔のジョシュ。
ペレはいたずらっぽく「僕の妹分であるマヤが君に気があるらしいよ」とクリスチャンに伝える。そして、マヤにはビクスミンディグ(Byxmyndig)という、いわばセックスをするためのライセンスが与えられたばかりであると続ける。
突然、男性の怒号が響く。
マークが先の倒木に小便をしており、ウルフが「何をするんだ!」と怒鳴りつけている。
状況を把握できていないマークをペレが急いで引きはがし、「あれは先祖代々の墓だ」と説明する。「だって枯れ木じゃん」「いやお前墓石に小便引っ掛けるか?」と言っている間にもウルフは「先祖が冒涜された」と激しく泣き崩れる。あまりに激しくなくウルフにドン引きするマーク。ウルフは「樹を守る人」であることが告げられる。
インガが現れ、「知らなかったんだから仕方ないと伝えてあげて」とペレに言い、マークは呑気に「彼女、俺について何か言ってた?」と聞く。
宿舎でダニーはコニーに会う。コニーは「悪いけど私とサイモンは帰るわ」と言い、荷物を持って出ていこうとする。
そこに現れた男性に「サイモンはトラックに乗って行った」と伝えられ愕然とするコニー。駅までは35分で、電車は90分後、トラックの席は2席しかないなどと様々な理由からサイモンが急いで出ていったと聞かされ「そんなの嘘よ!」と取り乱すコニー。
そんなコニーをよそに男性はダニーに昼食の時間であることを告げる。
ダニーがクリスチャンと合流した。クリスチャンはダニーにキスをする。クリスチャンは昨日は悪かったと謝る。ダニーは微笑んで別に喧嘩したいわけじゃないし、いいのよと許す。
ダニーはサイモンがコニーを置いていった旨をクリスチャンに伝える。クリスチャンは驚くそぶりを見せたものの、あまり気にしていない様子である。
クリスチャンはダニーの手を握りながらもダニーそっちのけで村人と話をしている。ダニーは訝しげにクリスチャンを見つめる。
「この村には近親相姦の分化はあるのか?」という問いかけに対し「近親相姦はタブーなので、子孫を残すために外から人を連れてくるのだ」と答える。
ダニーがホルガを歩き回っていると、厨房のようなところを通りかかる。
女性の一人、カリンに話しかけられ、ダニーはミートパイ作りを手伝うことになる。
他の女性に「美人ね」と褒められ、白いエプロンをつけてもらい、歓迎ムードの中一緒にミートパイを作っていく。
その様子を窓の外からシヴが見つめている。
ジョシュは寺院にて、ホルガの長老、アルネからルビ・ラダーを見せてもらっている。
曰く、「ルビ・ラダーは書物というよりは感情の楽譜のようなもの」であり、それは「曇りのない存在」であるルビンによって描かれていると言った。ルビンが描き、長老たちで解読するのだ、と。
ルビンは奇形児であり、発達障害もある。
「ルビンが死んだら誰がルビ・ラダーを描くのか」というジョシュの質問に対し、「ホルガでは近親交配を意図的に行っている」とアルネ。
写真を撮ってもいいかとジョシュが聞くが断固拒否される。
ダニーが焼きあがったミートパイを取り出している頃、女性の悲鳴のようなものが聞こえる。その悲鳴はクリスチャンも耳にしていた。
夕食の時間になり、ミートパイが運ばれてくる。
クリスチャンにミートパイを運んだ女性は、その顔を覗き込みにっこりと笑う。クリスチャンのミートパイにだけ、緑色の葉が添えられていた。
サイモンもコニーもおらず、サイモンがコニーを置いていったことと知る一同。コニーの心配をするダニーをよそにクリスチャンは喧嘩でもしたんだろうとバッサリ。「あなたも同じことをしそうよね」とダニー。
ルビ・ラダーについてクリスチャンに話しかけるジョシュ、しかし「協力する気になったのか?」と偉そうなクリスチャンに閉口した。
クリスチャンは気まずそうにミートパイを口にする。ミートパイからは毛のようなものが出てきて、「それ、陰毛じゃないか?」とマークに指摘される。
一同が気味悪がる中、クリスチャンはマヤのほうを一瞥し、覚悟を決めたように自分の飲み物を口にした。ほかの皆の飲み物はさわやかな黄色をしていたが、クリスチャンのものだけ赤みがかったオレンジ色をしていた。
ウルフに睨まれており、「俺、殺されるかも」と気まずいながらも冗談めかしく言うマーク。そこにインガが現れ、マークに「あなたに見せるわ」と声をかけ、マークは「何か見せてくれるらしい」と浮き立って連れていかれる。
その日の夜、ダニーは再びジョシュに睡眠薬をもらう。
ジョシュはスニーカーを履いたままベッドに横になり、皆が寝静まったころにそっと宿舎を抜け出し、寺院にてルビ・ラダーの写真を撮りに行く。
周囲を警戒しつつも夢中になって写真を撮っていると、背後に人影があることに気づき、驚いて振り返る。
「マーク、驚かすなよ…」というもそこにいたのはマークの顔をしているが様子がおかしく、下半身が裸であった。
様子がおかしいことに気が付いた途端にジョシュは背後から殴られ、マークだと思われる人がジョシュを見おろす。それはマークの顔と下半身の皮をかぶった別人のようであった。
ジョシュの痙攣が止まり、動かなくなったところでどこかに引き摺られ、生々しい血痕だけが残された。
<夏至祭4日目>
食事の際に、ルビ・ラダーの19巻目がなくなったことが告げられる。
マークとジョシュが失踪したことを問われる。「突然2人もいなくなるのは不自然じゃないか?」と言われるも、クリスチャンは「二人の失踪もよくわからないし、もし仮にジョシュがルビ・ラダーを盗んでいたとしても自分は共謀していない」と伝える。ダニーは不可解な顔でクリスチャンを見つめている。
ダニーは女性たちと行動を共にするように言われ、クリスチャンはシヴと話をするように告げられる。ダニーにはほかのホルガの人々と同じような白い服が与えられ、その服には青い刺繍がなされていた。
クリスチャンはシヴのいる部屋に通され、マヤとの性交を行うよう促される。夏至祭の前にペレがダニー達の写真を見せたとき、マヤはクリスチャンに夢中になったこと、また、陰毛を食べさせられたのも一つのおまじないであることや、マヤとクリスチャンは理想の相手であることを告げられる。僕にはダニーという恋人が、としどろもどろに断ろうとするクリスチャンに対し、「一晩限りよ、今後ずっとじゃない、結婚は認めません」とシヴ。「ホルガにおける性交の儀式も観られますよ」と続け、目の色を変えながらも「参加しないでその儀式みられませんか?」とクリスチャン。
一方その頃、ダニーはカリンにいざなわれ、言われるがままにハーブティーを受け取った。
私の真似をしてね、とお互いの身体にグラスを触れさせた後一気に飲み干し、息を大きく吐き、吸った。二人は笑いながらメイ・ポールの方へと駆けていく。
メイ・ポールの周りに3重の円を描くように女性たちが立って手を繋ぐ。
「かつて、暗闇がホルガの若者を騙して、ダンスへと誘惑した。踊り始めると、止まることはできず、死ぬまで踊ることになった」とイルマ。そして、「死ぬまで踊る代わりに、倒れるまで踊り、最後に立っていたものが、女王≪メイ・クイーン≫となる」と続ける。話を聞きながらダニーがふと足元を見下ろすと、自分の足から草が生えている幻覚が見え、慌てて顔をあげた。
音楽が始まり、女性たちはお辞儀をし、メイ・ポールの周りを回るようにして踊り始める。
状況が呑み込めず周囲の女性たちに合わせて見よう見まねでダンスをするダニー。音楽や掛け声によってダンスの動きが変わり、その都度カリンから声をかけてもらいながらどうにか踊り続ける。
時折、ぶつかったりして転んだ女性たちが次々に輪から抜けていく。
クリスチャンは何やら思いつめた顔でシヴの部屋を後にし、ダンスを見物しているペレの隣に座る。
マヤが転倒し、ダンスの輪から笑いながら抜けていく。
ウラがクリスチャンに飲み物を差し出し、飲むように促す。
これは何かと問うクリスチャンに対し、「影響に対して心を開くもの」と答えるウラ。
クリスチャンは思い悩み一度は断ったが、ウラの押しに負けて一気に飲み干した。
女性は残り8人になった。一同は掌を掲げてひらひらと動かし、祝福する。
カリンがダニーの手を取って喜び、ダニーも喜んだ。が、クリスチャンを見ると浮かない顔をしていたので笑顔が引っ込んだ。
つかの間、音楽が再度始まり、ダニーは再び踊り始める。
始めに飲んだハーブティーや長時間踊り続けた疲労から、ダニーは意識が朦朧としてくる。
朦朧とした意識の中でふらふらと踊りながらダニーはカリンとスウェーデン語で会話する。「私たち分かり合ってるわ!」と歓喜したタイミングでカリンともう一人の女性が接触し、転倒。
今年の夏至祭の女王≪メイ・クイーン≫はダニーに決まったのであった。
座って鑑賞していた村人たちはクリスチャンを除き全員が掌を掲げてひらひらと動かしながらダニーに駆け寄る。
ダニーがかぶっていた花冠は外され、代わりに女王≪メイ・クイーン≫の立派な花冠を与えられた。また、花が縫い付けられた布を肩にかけられる。その花々はまるで呼吸をしているかのように蠢いている。
大勢の村人たちが駆け寄る中、ダニーは父親と母親、そして妹の幻覚を見る。大喜びしているペレがダニーに接吻をした。
村人全員とダニーで集合写真を撮り、クリスチャンは茫然とその様子を見ていた。
【結】饗宴(狂宴)の果て
ダニーは丸い板のような台に立たされ、4人の村人に担ぎ上げられ、村人たちが歌う中運ばれていく。運ばれた先は食事の会場で、既に支度は整っていた。
ダニーは植物の生い茂った椅子にの前に立たされ、村人たちも各自椅子の前に立つ。ダニーが座ると皆が座った。
皆がダニーを見、待っている。ダニーがふと椅子に生い茂る葉をなでると葉は成長したように見えた。恐る恐るナイフとフォークを手に取り、食事を始めるそぶりを見せると、村人たちは食事を始めた。
状況がわかっていないクリスチャンが隣の男性に声をかけると、隣の男性は突然クリスチャンの前で手をたたき、クリスチャンは「なんでそんなことを…」と半泣きになる。
「幸福のおまじない」としてニシンの塩漬けを尻尾から一気に食べるように、と言われるもダニーは吐き出してしまう。村人一同は落胆の声をあげたが、すぐに朗らかに笑い出した。
「あなたはもう家族よ!」と近くの女性に話しかけられるも、浮かない表情のクリスチャンが気になって仕方がないダニー。
食事のあと、シヴが立ち上がり、女王≪メイ・クイーン≫はホルガの作物と家畜を祝福し、ニシンから受け取った幸運を、皆に分け与える必要があると言った。
6人の女性により馬車のようなものが牽かれてきて、ダニーはその馬車に乗るように促される。
「クリスチャンと行きたい」と口にするダニーに「一人でなければなりません」とシヴ。ダニーは女性たちに促されるがままに一人馬車に乗り込み、儀式を行う場所へと運ばれていった。
穀物とそれを入れていた袋、生肉、割った生卵とその殻が埋められ、ダニーは村の女性に「私が言うことを繰り返して」と教わりながら、儀式を行う。
その頃、いまだ食卓に座っていたクリスチャンに向かって道を作るように少女が花を撒く。少女が撒いた花はその場で咲き乱れる。
周りの空気感に圧倒され、クリスチャンはとぼとぼとその花をたどっていく。
行きついた先は寺院であった。
ガウンのような白い服に着替えさせられ、精力剤のような香を嗅がされ、白い髪のような装飾で顔を覆った男に部屋の中に通される。
部屋の中央には花が敷かれており、そこに全裸のマヤが座っている。マヤの後ろには12人の全裸の女性が立っており、ハミングしている。
マヤが脚を開く。
女性の一人にガウンを脱がされ、クリスチャンはとりつかれたようにマヤのもとへと歩いていく。
クリスチャンが挿入するとマヤが痛みに怯え、背後にいる女性の一人に手を伸ばす。女性はその手を取り、クリスチャンとマヤにささやきかけるように歌を歌う。
クリスチャンはそれを見ながらも腰を振り続ける。
マヤが喘ぐと女性たちもその声を真似て乳房と体を揺らして喘ぐ。
部屋の隅では横たわりながらその様子を眺めているルビンがいた。
女王≪メイ・クイーン≫の儀式を終えて戻ってきたダニーは次の儀式の支度を促される。
しかし、どこかから聞こえてくる嬌声のような声が気になり、「あれは?」と聞くも「私たちには関係のないことよ」と返される。
それでもどうしても気になってしまったダニーは女性の制止を振り切り、クリスチャンとマヤが性行為をしているところを鍵穴からのぞき見てしまい、ショックのあまり嘔吐する。
女王≪メイ・クイーン≫の儀式を共に行った女性たちはダニーを慌ててベッドの上まで連れて走った。
ダニーは一度はベッドに寝かされるものの、じっとしていられずベッドから飛び起き、床に座り込み、慟哭した。
ダニーに合わせて女性たちも慟哭した。
その頃、クリスチャンはマヤに「止めないで、イって」と言われる。一人の女性がクリスチャンの腰を押して動かす。
クリスチャンは射精し、マヤは「赤ちゃんを感じるわ」と嬉しそうに言う。
混乱しているクリスチャンは全裸のままその場を後にし、外に飛び出た。クリスチャンのペニスはマヤが処女であることを示すかの如く血で真っ赤になっていた。
走った先で次の儀式の支度をしている女性たちに遭遇し、宿舎に近づけばダニー達の慟哭が聞こえる。
あちこち無様に走り回ったのち、ふと木々の隙間から足が出ていることに気づく。それは紛れもないジョシュの足であり、パニックになったクリスチャンは目についた小屋に逃げ込む。
小屋から外の様子を伺い、安堵したクリスチャンは小屋の中に目を移す。
そこは鶏小屋であった。鶏たちと、背部から翼のように肺を取り出され、天井から花をあしらわれたロープで吊るされている全裸のサイモンの姿があった。凝視すると、サイモンの肺はまだ動いている。思わず、吊るされているサイモンの下に潜り込んで顔を確認すると、その眼球はくりぬかれ、花が詰められていた。
怯えたまま立ち上がり正面を向いたクリスチャンは、長老と思しき男性に何やら粉を吹きかけられ、その場に倒れる。
もう一人の長老によってクリスチャンの両目は閉じられた。
「クリスチャン、起きて」と頬を軽く叩かれ、ウラによって両目が開かれる。
「貴方は動けないし、喋れない、わかった?」とウラに言い聞かされるも、状況がわからないクリスチャン。
クリスチャンは白い服を着せられ、車いすの上に座らされていた。
夏至祭の始まりを告げた場所にシヴをはじめとした長老が立ち、花冠と花のドレスに包まれて顔だけが外に出ているダニーが座っている。その横では雲のような台の上でルビンが一心不乱にルビ・ラダーを描いている。
新たな儀式を行う旨が告げられ、その儀式には9人の生贄が必要だという。
4人は外部から、そして4人はホルガから、最後の1人は女王≪メイ・クイーン≫が決めるとのこと。
外部からの4人の生贄はもう揃っており、ホルガからはすでに2人が生贄となっている。村人たちの背後にはダンとイルヴァのデスマスクに木々や花で装飾されたものが立ててあった。
ホルガからはウルフとイングマールが生贄として名乗り出ていることが告げられ、また、ペレは新しい血と女王≪メイ・クイーン≫をホルガにもたらしたことから新しい預言者として讃えられた。
9人目、すなわち最後の1人の生贄は女王≪メイ・クイーン≫であるダニーが選択することが改めて告げられ、ウラがクリスチャンを運ぶ。
大がかりなビンゴマシーンのような機械でホルガからはトービヨンという男性が選ばれた。
ダニーの目前にはクリスチャンとトービヨン。
どちらかを選ぶようダニーは迫られる。
場面が変わり、ホルガの人々がウルフとイングマールに別れを告げる。
一方で、冒頭で檻の中にいた熊がお腹を開いた状態で台の上に乗せられており、年長者が子供たちに内蔵の切り出し方を教える。
クマの内臓をあらかた取り出したところでそばに座らされていたクリスチャンが同様に台の上に乗せられ、クリスチャンは内臓を取り払った熊の毛皮の中に縫い込まれる。
生贄としてダニーが選んだのはクリスチャンだった。
村人たちが黄色い神殿の方へと台車を運ぶ。
台車には樹のような飾りつけを施され溺死したコニー、ピエロのような帽子をかぶらされ中に藁を詰められたマーク(の顔の皮)、ダンとイルヴァを模したもの…それぞれが乗っている。
黄色い、三角錐のような形をした神殿の中にそれぞれが運び込まれる。
そこには花で飾り付けられたサイモンとジョシュの姿もあった。
クリスチャンは神殿の真ん中に積まれた藁の上に座らされる。
生贄として立候補したイングマールとウルフも中の藁の山に座り、老師から「痛みや恐れを感じない」とイチイから作られた薬を舌の上に塗りつけられる。
白い髪のような装飾で顔を覆った3人がたいまつを持って神殿の中に入り、息を大きく吸って吐き、3か所で同時に藁に火をつけた。
炎は徐々に燃え上がっていく。
ジョシュやサイモン、マークをめらめらと飲み込み、クリスチャンが着せられた熊の毛皮にも引火し、クリスチャンは声にならぬ声をあげ、絶命した。
イングマールとウルフは安らかな表情で見つめあうが、ウルフの脚を炎が舐めたとき、ウルフは痛みと恐怖で叫び始める。
神殿の外ではその様子を見て村人たちが泣きわめき、ウルフとイングマールの痛みを分かち合う。
たくさんの花々でできた装飾を身につけたままのダニーもそれを見て泣き叫ぶ。
やがて神殿がほとんど燃え崩れてゆき、ダニーはその炎を眺めながら満面の笑みを浮かべるのであった。
…考察も書く予定でしたが長くなったので次回に続けます。書いたらURL繋げます…。
2020.03.14 追記
考察書きました↓